ここからは社会保険について学んでいきます。
今回は社会保険の中の公的医療保険の健康保険保険について詳しくみていきましょう。
公的医療保険とは
公的医療保険は健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険の3つに分けられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
っとその前にここから出てくる用語について軽く説明しておきます。
保険者:保険制度の運用主体
被保険者:保険の対象となる人
被扶養者:被保険者の扶養家族
今回は、健康保険について見ていきます。
健康保険
「健康保険」よく耳にする言葉ですが、概要はご存じでしょうか。
なんとなく知ってるだけでは、3級取得の知識不足になりますので、しっかり勉強しましょう。
健康保険とは
健康保険は、会社員が被保険者になります。
被保険者とその扶養家族に対して、労災保険の給付対象とならない病気やケガ、出産、死亡に対して保険金を支払う制度です。
健康保険の保険者
健康保険の保険者は2種類あります。
被保険者の勤め先の加入している保険によって異なります。
保険者 | 被保険者 | |
協会けんぽ | 全国健康保険協会 | 主に中小企業の会社員 |
組合健保 | 健康保険組合 | 主に大企業の会社員 |
健康保険の保険料
健康保険の保険料は被保険者の月収と賞与に保険率をかけて計算。
その金額を会社と被保険者で半分に負担(労使折半)して支払います。
保険率は協会けんぽは都道府県が、組合健保は組合が決めるよ!
健康保険の給付
健康保険の給付内容はこちらです。
- 療養の給付
- 高額療養費
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 傷病手当金
- 埋葬料
療養の給付
日常生活の病気やケガの診察などの医療行為を受ける際に給付をうけることができます。
医療機関の窓口で一定の自己負担があります。
自己負担の割合は年齢によって変わります。
- 0歳~小学校入学:2割負担
- 小学校~70歳 :3割負担
- 70歳
(平成26年4月以降に70歳になった人は2割、3月以前になった人は1割)
→現役並みの所得者は3割負担
高額療養費
月間の医療費の自己負担額が一定額を超えたとき、その超過額を請求をすれば後で返金をしてもらえます。
同じ医療機関、同じ月の支払い額は自己負担限度額までとなります。
ちなみに70歳未満の自己負担限度額の計算は以下の通りです。
所得区分 | 自己負担限度額 |
標準報酬月額83万円以上 | 252,600+(医療費-842,000)×1% |
標準報酬月額53~79万円 | 167,400+(医療費-558,000)×1% |
標準報酬月額28~50万円 | 80,100+(医療費-267,000)×1% |
標準報酬月額26万円以下 | 57,600円 |
住民税非課税世帯(低所得者) | 35,400円 |
試験にこの計算がでるときは、問題文に計算式がでてくるから覚えなくてもいいみたい♪
❁高額医療費の計算❁
例:次の場合の高額療養費として返金される金額を求めよ
・医療費=120万円
・38歳、標準報酬月額30万円
①病院に支払った金額を求める
1,200,000円×3割=360,000円
②自己負担限度額を計算する
80,100円+(360,000円-237,000円)×1%=113,730円
③高額医療費として返金される金額を出す
360,000-113,730=246,270円
出産育児一時金
被保険者または被扶養者(妻)が出産した場合、1児につき42万円出産育児一時金が支給されます。
ただし、産科医療保障制度に加入している病院等で出産した場合と限定もあります。
出産手当金
被保険者が、出産のために仕事を休んで給料が支給されないときに、出産前の42日間と産後の56日間で仕事を休んだ日数の金額が支給されることを出産手当金といいます。
支給額の計算方法は以下の通りです。
1日当たりの支給額=
支給開始日以前1年の各月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3
傷病手当金
被保険者が病気やケガで会社を休んだ時に支給されるのが傷病手当金です。
3日以上続けて休んで給料が支給されない場合、4日目から最長1年6か月受給が可能です。
支給額の計算方法は以下の通りです。
1日当たりの支給額=
支給開始日以前1年の各月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3
計算式は、出産手当金と同じだよ
例:病気のため20日間連続して仕事を休んだAさんの傷病手当金はいくらか。
Aさんの支給開始日以前1年の各月の標準報酬月額:36万円
①支給対象期間内の休業日数
20日-3日=17日
②1日当たりの支給額
360,000円÷30日×2/3=8,000円
②傷病手当金
8,000円×17日=13,6000円
埋葬料
被保険者が死亡したときに、家族に支払われるのが埋葬料です。
被扶養者が死亡したときは、被保険者に支払われます。
ともに、金額は5万円です。
健康保険の任意継続被保険者
被保険者が会社を退職したとき、健康保険の被保険者の資格はなくなります。
しかし、一定の条件を満たせば退職後2年間は退職前の健康保険に加入できます。
この場合の保険料は被保険者の全額負担となります。
健康保険の練習問題
(2)傷病手当金の支給期間は最長2年である。
(3)被保険者の妻が出産した場合、出産育児一時金は21万円である。
(1)×
健康保険の保険料は会社と労働者の折半で負担します。
(2)×
傷病手当金の支給期間の最長は1年6か月です。
(3)×
出産育児一時金は被保険者、被保険者の妻ともに42万円支給されます。
健康保険 まとめ
いかがでしたでしょうか。
実際に会社で働いていたり、病院で保険証を見せたりする機会がある方も多いかと思います。
今回の内容はイメージがつきやすかったのではないでしょうか。
今回の内容をまとめておきます。
- 健康保険の被保険者は会社員とその扶養者
- 勤め先によって協会けんぽと組合健保に分けられる
- 健康保険の給付内容
療養給付:病気やケガ(自己負担額は1~3割)
高額療養費:自己負担額が一定を超えれたとき
出産育児一時金:出産時に42万円
出産手当金:出産のため仕事を休んだとき
傷病手当金:病気やケガで仕事を休んだとき
埋葬料:死亡したとき - 被保険者が退職した後2年間は加入できる
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