今回は公的年金の老齢給付について、詳しく勉強していきます。
老齢基礎年金と老齢厚生年金とがあり、少しややこしいですがしっかり頭にいれていきましょう。
\基盤となる内容はこちらから/
老齢基礎年金
老齢基礎年金について学びましょう。
老齢基礎年金の受給資格期間
受給資格期間とは、老齢基礎年金を受け取るために必要な期間です。
- 保険料納付済期間
- 保険料免除期間
- 合算対象期間(カラ期間)
これらを合計した期間が受給資格期間です。
合計10年以上が必要で、65歳になったときから老齢基礎年金を受給することができます。
(ただし平成29年7月31日以前は25年以上の人)
各機関の詳しい内容は以下で確認してください。
保険料納付済期間
第1~3号被保険者として、保険料を納付した期間。
保険料免除期間
第1号被保険者で、保険料を免除された期間。
法廷免除、申請免除、学生納付特例制度、納付猶予制度で保険料を免除・猶予された期間を指します。
☞詳しくはこちら
合算対象期間(カラ期間)
受給資格期間には反映されるが、実際の年金額には反映されない期間。
任意加入のときに年金に加入しなかった期間をいいます。
今は年金の加入は強制だけど、昔は認可加入だったんだって。
老齢基礎年金の年金額
老齢基礎年金の年金額は年額で781,692円です。(令和2年度)
ただし、免除期間がある人はこの金額よりも少なくなります。
免除期間がある人の年金額の計算方法はこちら。
ここでの免除期間とは、法定免除期間と申請免除期間のことを指します。
合算対象期間(カラ期間)、学生納付特例期間、50歳未満納付猶予期間は計算額の対象にはならないよ!
・保険料納付済期間 37年
・学生納付特例期間 3年(追納なし)
①37年保険料を納付
→37年×12か月=444月
②学生納付特例期間は年金額に反映されない
③年金額の計算(詳しくは上記の図)
781,692円×444月/480月=723,065円
老齢基礎年金の繰上げ、繰下げ受給
繰上げ受給とは、65歳よりも早い60~64歳に年金の受け取りを開始。
繰下げ受給とは、65歳よりも遅い66~70歳に年金の受け取りを開始することをいいます。
繰上げ受給をした際は、繰り上げた月×0.5%年金額から減額。
また繰下げ受給をした場合は、繰り下げた月×0.7%が額に加算されます。
付加年金
付加年金は、第1号被保険者のみの制度です。
任意で月額400円を国民年金保険料に上乗せし、納付することで付加年金の納付月数×200円が老齢基礎年金に加算されます。
国民年金基金との併用はできません。
老齢厚生年金
老齢厚生年金についても、学習していきます。
老齢厚生年金のくわしく
厚生年金から支給される老齢給付は、60~64歳まで支給される特別支給の老齢厚生年金と、65歳以上の老齢厚生年金に分けられます。
また、特別支給の老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分に分かれます。
受給資格はそれぞれの老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていることで、特別支給の老齢厚生年金は厚生年金の加入期間が1年以上、老齢厚生年金は厚生年金の加入期間が1か月以上あることが条件です。
老齢厚生年金の年金額
特別支給の老齢厚生年金と老齢厚生年金の年金額は以下のように計算します。
特別支給の老齢厚生年金の計算方法
定額部分と報酬比例部分の合算です。
年金受給者に、一定の要件を満たした配偶者や子どもがいる場合は加給年金が加算されます。
加給年金とは、簡単にいうと家族手当のこと。くわしくは以降で説明します。
計算式は覚えなくてOK
なので概要だけ覚えておこう♪
老齢厚生年金の計算方法
65歳になると、これまでの年金の定額部分が老齢基礎年金に。
報酬比例部分が老齢厚生年金に切り替わります。
しかし、当面は定額部分の額が老齢基礎年金の額より大きいので、減少分が経過的加算として補われます。
老齢厚生年金の繰上げ、繰下げ受給
老齢厚生年金も基礎年金と同様に繰上げ、繰下げ受給を行うことができます。
年齢も基礎年金と同様で60~64歳で繰上げ、65歳以上で繰下げです。
ポイントをまとめておきます。
- 繰上げ受給
繰り上げた月数×0.5%が減額 - 繰下げ受給
繰り下げた月数×0.7%が加算 - 繰上げは老齢基礎年金と同時に行わなければいけない
- 繰下げは老齢基礎年金と別でもOK
加給年金
加給年金とは、年金の家族手当のようなもの。
厚生年金の加入期間が20年以上で、その人よって生計を維持されている家族が要件を満たせば支給される年金です。
- 受給条件
厚生年金保険加入期間20年以上
+65歳未満の配偶者または
18歳最初の3/31までの子ども
(20歳未満の障害等級1級・2級の未婚の子) - 加給の年額
配偶者:224,300円
子ども:第1子・第2子は各224.300円
第3子以降は各74.800円
振替加算
加給年金は、配偶者が65歳に到達すると支給が停止します。
その代わりに配偶者の生年月日に応じた金額が、配偶者の老齢基礎年金に加算されます。
これを振替加算といいます。
在職老齢年金
在職老齢年金は、60歳以降も企業で働くときの老齢厚生年金をいいます。
60歳以降に会社などから受け取る給与などに応じて老齢厚生年金の額が減額されます。
減額される年額は、年齢によっても異なります。
- 60~64歳
給与+年金月額>28万円
→年金額が減額 - 65~69歳
給与+年金月額>46万円
→老齢厚生年金が減額
(老齢基礎年金の減額はなし) - 70歳~
65~69歳と同じ
年金保険料の納付はない
離婚時の年金分割制度
平成19年度以降に離婚した場合は、夫婦間の合意により婚姻期間中の厚生年金を分割できます。
2分の1の上限はありますが、分割割合は夫婦で決定可。
平成20年5月以降は、夫婦間の合意がなくても分割することができるようになりました。
老齢給付 練習問題
(1)老齢基礎年金は、受給期間が10年以上の人が60歳になったときに受け取ることができる。
(2)学生納付特例期間は、老齢基礎年金の年金額に反映される。
(3)第1号被保険者が任意で月額200円を国民年金保険料に上乗せして納付すると、「付加年金の納付期間×400円」が老齢基礎年金の額に加算される。
(4)老齢厚生年金の繰上げ受給を行ったとき、「繰り上げた月数×0.3%」が年金額より減額される。
(5)67歳の在職老齢年金は、給与などと年金月額の合計が28万円以下である場合、全額支給される。
(6)加給年金は一定の条件の配偶者と子どもがいる場合に支給される年金である。
(1)×
受給期間が10年以上の人が65歳になったときに受け取ることができる。
(2)×
学生納付特例期間と合算対象期間、50歳未満納付猶予期間は年金の計算に反映しない。
(3)〇
(4)×
繰上げ受給は「繰り上げた月数×0.5%」が年金額より減額される。
(5)×
60~65歳は28万円以下、67歳は46万円いかで全額支給となる。
(6)〇
老齢基礎年金 まとめ
いかがでしたでしょうか。
覚える内容も多く、計算が必要なものも多いので頭がこんがらがる部分も多いかと思いますが、何度も復習をして対策しましょう。
今回の内容をまとめておきます。
- 老齢基礎年金
受給期間10年以上、65歳から
年額で781,692円
繰上げ受給:月数×0.5%減額
繰下げ受給:月額×0.7%上乗せ
第1号には付加年金あり - 老齢厚生年金
60~64歳:特別給付の老齢厚生年金
65歳以上:老齢厚生年金
繰上げ繰下げ可(基礎年金と同様)
加給年金、振替加算あり
60歳以降も働く→在職老齢年金
\理解できれば次へ/
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